UbuntuでZFSを使ってみよう 第23回 ZFSのプロパティを見てみよう(5)
前回は、ZFSに設定できる読み取り専用プロパティについて説明しました。今回も引き続きZFSの読み取り専用プロパティについて説明します。
読み取り専用のZFS ネイティブプロパティ(5)
groupused@group
このデータセットにおいて、指定されたグループが使用した使用容量です。 スペースは、ls -lで表示されるように、各ファイルのグループ容量に加算れます。 詳細については、前回の userused@user
プロパティを参照してください。
非特権ユーザーは、自分のグループのスペース使用量にのみアクセスできます。 root ユーザーと zfs allow
コマンドで groupused 権限を与えられたユーザーは、すべてのグループの使用量にアクセスできます。
groupobjused@group
このデータセットにおいて、指定されたグループが使用したオブジェクト(ディレクトリ、シンボリックリンクなどを含むファイル)数です。 拡張属性が使用されている場合、各ファイルに対して複数のオブジェクトがグループのオブジェクト数に追加されることがあります。詳細は、前回の userobjused@user
プロパティを参照してください。
非特権ユーザーは、自分のグループのスペース使用量にのみアクセスできます。 root ユーザーと zfs allow
コマンドで groupobjused 権限を付与されたユーザーは、すべてのグループの使用量にアクセスできます。
projectused@project
このデータセットにおいて、指定されたプロジェクトが使用した使用容量です。プロジェクトは、数字で表わされるプロジェクト識別子(ID)によって識別されます。親オブジェクトが プロジェクトID継承フラグを持っている場合、オブジェクトは作成時に親オブジェクトからプロジェクトIDを継承できます。プロジェクトID継承フラグは、chattr -/+P
または zfs project -s
で設定・変更できます。特権ユーザは、いつでもchattr -p
や zfs project -s
でオブジェクトのプロジェクトIDを設定・変更できます。
lsattr -p や zfs project で表示される各ファイルのプロジェクトの使用量に追加されます。 詳細については、userused@user
プロパティを参照してください。
rootユーザーと zfs allow
でprojectused権限を付与されたユーザーは、すべてのプロジェクトの使用容量にアクセスできます。
projectobjused@project
このデータセットにおいて、指定されたプロジェクトが使用したオブジェクト数です。ファイルセットにxattr=on
というプロパティが設定されている場合、ZFSは拡張属性を保存するためにファイルへ追加のオブジェクトを作成します。これらの追加オブジェクトはprojectobjused
の値に反映され、プロジェクトのprojectobjquota
に追加されます。 xattr=sa
を使用するようにファイルシステムが設定されている場合、追加の内部オブジェクトは必要ありません。詳細は userobjused@user
プロパティを参照してください。
root ユーザーと zfs allow
で projectobjused 権限を付与されたユーザーは、すべてのプロジェクトのオブジェクト数にアクセスできます。
volblocksize
データセットがボリュームの場合、ボリュームのブロックサイズを表示します。 ブロックサイズは一度書き込まれると変更できないため、ボリューム作成時に指定する必要があります。 ボリュームのブロックサイズのデフォルトは8KBです。 512Bから128KBまでの2の累乗が有効です。
このプロパティは、短縮された列名であるvolblockでも表示できます。
written
このデータセットが参照している領域のうち、前回のスナップショット以降に書き込まれた領域(前回のスナップショットでは参照されていない領域)の量です。
written@snapshot
指定されたスナップショット以降に、このデータセットへ書き込まれた参照領域量です。 これは、このデータセットで参照されているが、指定されたスナップショットでは参照されていなかった領域です。
スナップショットは短いスナップショット名(@の後の部分だけ)で指定もでき、その場合はこのデータセットと同じファイルシステムにあるスナップショットと解釈されます。 スナップショットは完全なスナップショット名(filesystem@snapshot)での指定もできます。クローンの場合は元のファイルシステムのスナップショットとなります。
終わりに
今回はZFSの読み取り専用プロパティについて説明しました。次回から、ZFSの設定可能なプロパティについて説明します。次回をお楽しみに。
さて、このコラムを掲載いただいているデジタル・ヒュージ・テクノロジー社は老舗のOSSインテグレーターです。特にLinuxは強く、OSSを活用した業務システムの実績も多いです。興味がある方は以下のページもご覧ください。
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