UbuntuでZFSを使ってみよう 第20回 ZFSのプロパティを見てみよう(2)
前回は、ZFSに設定できる各種プロパティについて説明しました。今回も引き続きZFSのプロパティについて説明します。
読み取り専用のZFS ネイティブプロパティ(2)
ZFSネイティブプロパティの中で、読み取り専用の情報について説明します。
defer_destroy
プロパティdefer_destroyは、スナップショットにのみ設定されるプロパティで、通常はoff
です。スナップショットが zfs destroy -d
コマンドを使用して、遅延破壊のマークが付いた場合はon
になります。 遅延破壊については、zfs destory
コマンドの項で説明します。
# ファイルシステムにはプロパティdefer_destroyは無効
$ zfs get defer_destroy rpool/USERDATA/user2__3
NAME PROPERTY VALUE SOURCE
rpool/USERDATA/user2__3 defer_destroy - -
# スナップショットのみプロパティdefre_destroyがoff
% zfs get defer_destroy rpool/USERDATA/user2__3@zfs-auto-snap_daily-2021-06-14-2236
NAME PROPERTY VALUE SOURCE
rpool/USERDATA/user2__3@zfs-auto-snap_daily-2021-06-14-2236 defer_destroy off -
encryptionroot
データセットを暗号化した場合、データセットが使用する暗号化キーをどこから継承しているかを表示します。暗号化ルートのキーをロード/アンロードすると、継承するデータセットのキーも暗黙にロード/アンロードされま。詳細は、zfs load-key
と zfs unload-key
コマンドの項で説明します。 クローンは常にオリジンと暗号化キーを共有します。
filesystem_count
データセットツリーのある場所以下に存在する、ファイルシステムとボリュームの合計数です。 この値は、データセットが存在するツリーのどこかに、プロパティfilesystem_limitが設定されている場合にのみ使用できます。
keystatus
暗号化キーが現在ZFSに読み込まれているかどうかを示します。設定可能な値は、none
、available
、unavailable
です。 詳細は、zfs load-key
とzfs unload-key
コマンドの項で説明します。
guid
データセットなどの64ビットのGUIDで、寿命が尽きるまで変更されることはありません。スナップショットを別のプールに送信すると、受信したスナップショットは同じGUIDを持ちます。したがって、GUIDはプール間でスナップショットを識別するのに適しています。
logicalreferenced
このデータセットが、論理的にアクセス可能な領域(容量)を表示します。 論理的にアクセス可能な領域については、プロパティreferenceの項で説明します。 論理的領域は、圧縮とコピーのプロパティの効果を無視し、アプリケーションが参照するデータ量に近い量です。 この値には、メタデータで消費される領域も含まれます。
このプロパティは、短縮されたプロパティ名 lrefer でも参照できます。
$ zfs get lrefer rpool/USERDATA/user2
NAME PROPERTY VALUE SOURCE
rpool/USERDATA/user2 logicalreferenced 96.9G -
$ zfs get lrefer rpool/USERDATA/user2
NAME PROPERTY VALUE SOURCE
rpool/USERDATA/user2 logicalreferenced 96.9G -
logicalused
このデータセットとそのすべての子孫によって、論理的に使用された領域(容量)です。論理的に使用された領域については、プロパティusedの後で説明します。 論理的スペースは、圧縮とコピーのプロパティの効果を無視し、アプリケーションが参照するデータ量に近い量です。 この値には、メタデータで消費される領域も含まれます。
このプロパティは、短縮されたプロパティ名 lusedでも参照できます。
$ zfs get logicalused rpool/USERDATA/user2
NAME PROPERTY VALUE SOURCE
rpool/USERDATA/user2 logicalused 111G -
$ zfs get lused rpool/USERDATA/user2
NAME PROPERTY VALUE SOURCE
rpool/USERDATA/user2 logicalused 111G -
mounted
ファイルシステムの場合に使用され、ファイルシステムが現在マウントされているかどうかをyes
/no
で表示します。
終わりに
今回はZFSのプロパティについて説明しました。次回も、ZFSのプロパティについて説明します。次回をお楽しみに。
さて、このコラムを掲載いただいているデジタル・ヒュージ・テクノロジー社は老舗のOSSインテグレーターです。特にLinuxは強く、OSSを活用した業務システムの実績も多いです。興味がある方は以下のページもご覧ください。
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