Web更新

UbuntuでZFSを使ってみよう 第35回 OpenZFS2.1 の変更点を確認しよう(3)

今回は前回に引き続き、OpenZFS 2.1の変更点を確認します。

OpenZFS 2.1での変更点

追加サブコマンド

OpenZFS 2.0~2.1 で追加されたサブコマンドは以下の通りです。

zpool replace|attach -s

新しいストレージデバイスへの交換もしくはデバイスを追加する際に、 -s オプションを指定するとシーケンシャルなresilver を実行し、pool全体を再構築します。シーケンシャルなresilver を終了後、自動的に zpool scrub が実行されます。もちろん、シーケンシャルなresilverを実行できないzpool構成では、実行されません。

zfs wait, zpool wait

zfs と zpool のサブコマンドで、長時間実行されるバックグラウンド処理が完了するのを待ちます。-t オプションで、以下から使用できるアクティビティを指定できます。

  • zpool
  • discard
    既存チェックポイントの破棄
  • free
    zpoolの削除
  • initialize
    すべての初期化(zpool initialize)の終了
  • replace
    デバイスのリプレースの終了
  • remove
    デバイスの削除
  • resilver
    Resilver の終了
  • scrub
    Scrub の終了
  • trim
    手動での Trim の終了
  • zfs
  • deleteq
    ファイルシステム内部の削除キューが空にする

また、attach、checkpoint、initialize、replace、remove、scrubサブコマンドに -w オプションが追加されます。-w フラグを使用すると、サブコマンドによって起動する操作が非同期ではなく、同期になります。

zfs redact, zfs send --redact

再編集(redacted)されたsend streamを生成します。reducted send streamは、ユーザーが容量の節約、セキュリティやプライバシーの懸念などの理由で、データの一部を選択的にバックアップから除外して、zfs send/recieveを行う機能です。

最初に、ターゲットに送信するスナップショットの1つ以上のクローンが作成されます。このクローンでは、不要または望まないデータすべてが、削除・修正されます。次にこのクローンはスナップショットされ、redaction snapshot(1つ以上のスナップショット)が作成されます。

次に、新しいzfs redactコマンドは、redaction bookmarkを作成します。redaction bookmarkは、redaction snapshot によって変更されたスナップショット内の、ブロックのリストを保存します。
最後に、redaction bookmark は zfs sendコマンドにパラメータとして渡されます。再編集されたスナップショットに送信するとき、redaction bookmarkは、機密または不要な情報を含むブロックをフィルタリングするために使用され、それらのブロックは送信ストリームに含まれません。

領域サイズ推定を高速にするためのブックマークの変更には、ブックマークへのデッドリスト の追加が含まれます。また、これらのデッドリストのライフサイクルを管理するロジックも存在します。新しい領域サイズ推定処理は、従来は正確な推定できなかったケースで動作します。その場合、データブロックを読み込まないで送信することで、実行時間を大幅に短縮し、バイト単位の正確なサイズを推定します。

zfs send --partial

zfs send’ コマンドに --partial (-S) オプションが追加されました。このオプションを使用すると、ユーザーは部分的に受信したデータセットを送信できます。部分的なデータ転送が中断されたとしても、転送を再開できます。

zfs rename -u

ファイルの再マウントを行わなくてもファイルシステム名を変更できる -uオプションが追加されました。

zfs umount -u

暗号化されたファイルシステムがアンマウントされたとき、その暗号キーをアンロードする -uオプションが追加されました。

zfs bookmark fs#target fs#newbookmark

既存のブックマークを、新しい名前でコピーする機能が追加されました。

終わりに

今回は、OpenZFS 2.1以降の変更点について掘り下げてみました。次回からは、UbuntuでのZFS使用方法の説明に戻ります。次回をお楽しみに。

さて、このコラムを掲載いただいているデジタル・ヒュージ・テクノロジー社は老舗のOSSインテグレーターです。特にLinuxは強く、OSSを活用した業務システムの実績も多いです。興味がある方は以下のページもご覧ください。
DHT OSS導入コンサルティングサービス

関連記事一覧