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書籍紹介コラム「やさしく学ぶディープラーニングがわかる数学のきほん」(平岡麻奈)

新しく気になる言葉を見つけた時や、興味の湧く情報に出会えば、すぐにネットで検索することが可能です。瞬く間に情報に辿り着ける環境は、便利でありながらも、その情報を深く理解するところまで至らないことも多くあります。例えば「AI」と検索して、色々と情報は検索したけれど、「なんだか難しそうだな」という漠然としたイメージがついてしまえば、その先へ進むこと自体が「難しく」なるかもしれません。言葉だけが先走ってしまい、実際には理解できていないこと、意外と多いのではないでしょうか。

新しく学習することが、例えば私達の生活に役立つものであったり、具体的にイメージすることが出来れば、意欲も湧いて楽しくなります。そして、その学習を「いかに前向きに、継続させることが出来るか」が重要です。継続には、学びやすさや、初めて学習する人にも分かりやすい表現や形も大切です。いきなり難しい難題を与えられても、その難題がなにを意味しているのか理解出来なければ、学習に楽しさを見出させない可能性もあります。1度、「学習が面白い!」となれば、難題こそ「面白く」なります。

数学の教科書を思い出すと、まず数式の説明があり、その数式を利用した例題、そして練習問題があります。練習問題から取り掛かってしまうと、その数式を持つ意味を理解できておらず、つまづいてしまいます。「どうしてこの数式が使われるのか」という部分を知ること、すべて「基礎」を理解していなければ「応用」することが出来ません。この為にも、最初に学ぶ「基礎」の段階が一番大切であり、「基礎」を確実に学んでおれば、苦手意識を持たずに前へ進むことが出来るのではないでしょうか。今回ご紹介する書籍は、「基礎」を習得し、「基礎」を活かす為の1冊を紹介します。

本書は、「ニューラルネットワークに興味を持ち始めてその中身をしっかり理解したいと思っているエンジニアの方々を対象」としています。登場人物の会話を元に学習を行い、主人公のアヤノのように「ニューラルネットワークのことが気になっている」けれど、興味があるだけで勉強を始める段階の方にも読み進めやすい構成です。また、他に登場する「ニューラルネットワークに詳しい」ミオ、「ニューラルネットワークを勉強中の」ユーガも、読み手側が今の自分と照らし合わせることで、自身の「ニューラルネットワーク」の理解度を知ることが出来ます。

「数学的な側面からの理解にも力を入れている」書籍である為、沢山の数式が並べられています。冒頭でお伝えしたように、「難しそう」と感じるかもしれません。本書ではその「難しそう」という気持ちを配慮し、登場人物の会話の中に数式が組み込まれています。会話であれば自然と頭に入ってきますし、登場人物が素直な気持ちを伝えてくれるので(例えば、アヤノが理解出来ない時には『どうすればいいんだっけ。』とミオに伝えてくれます。)、途中でつまずいてしまった場合でも、登場人物と自分を重ね合わせながら読み進めることが出来ます。

本書は、Chapter1~Chapter5でニューラルネットワークの説明から実装までを学習することが出来ます。学習していく中で、「ニューラルネットワークの価値や活用先」への関心も抱くようになり、学習の「先を見る」能力も身に付きます。また、Chapter以外にもCOLUMNページがあるのですが、アヤノとユーガの印象深い会話の1部を紹介します。

アヤノ「機械学習を仕事にしたいなら数学的な部分を覚えるだけじゃなくて、問題を理解して、それを定式化して、機械学習が解ける形を落とし込んだ上で、その問題を解決する。そこまで出来るようにならないといけないなあ、って。」(コラム 後日談 P.309)

「機械学習を実践する価値」についての会話になりますが、ニューラルネットワークに関しても同様です。流行っているからと、興味を持ち始めることは、学習する為のきっかけとして問題はないのですが、学習を通して「仕事にする」のであれば、アヤノのような気持ちが大切になります。「ニューラルネットワークに関係のある仕事をしたい」と、まだ具体的に将来を描き切れていないと感じる方は、アヤノの言葉を思い出し、参考にしてみてはいかがでしょうか。

「やさしく学ぶ」ことは、「基礎を確実にマスターする」ことと感じました。やさしく噛み砕いた説明は、読み手に安心感を与えます。世の中には次から次へと新しい手法が出てきます。『基礎を理解出来ていなければ、応用を活かすことが出来ない』ということを忘れず学習することは、今後の強みになります。あらゆる難題に出会ったとしても原点に立ち返る能力が身につく1冊です。

このコラムを掲載いただいているデジタル・ヒュージ・テクノロジーは未経験者から始めて、活躍されている方が多い会社です。デジタル・ヒュージ・テクノロジーは基礎から学べる環境があり、学びと経験を積みやすい会社です。。そんなデジタル・ヒュージ・テクノロジーの環境に興味がある方は、是非以下の社長カフェに遊びに来てください。

先着3名に今回ご紹介した書籍をプレゼントしたします。

今回で私のコラムは最終回になりました。最後までお読みいただき、ありがとうございました。またどこかのコラムコーナーでお会いできることを楽しみにしております。

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