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UbuntuでZFSを使ってみよう 第34回 OpenZFS2.1 の変更点を確認しよう(3)

今回は前回に引き続き、OpenZFS 2.1の変更点を確認します。

OpenZFS 2.1での変更点

互換性プロパティ

新しい互換性プロパティ(compatibility)により、管理者は zpool で有効にすべき機能のセットを指定できます。この細かい制御により、ポータブルプールの作成が容易になり、OpenZFSのバージョン間やプラットフォーム間でプールの互換性を維持できます。

互換性プロパティは、zfs createもしくはzpool upgradeで指定可能です。

zpool create -o compatibility=off|legacy|file[,file...] [options...] zpoolname

プロパティ compatibility には、offlegacyfileを指定できます。

  • off
    互換性を無効にする=すべての追加機能を有効にする。
  • legacy
    追加機能を無効にする。
  • file
    ファイル名で指定した機能を有効にします。すべてのファイルに存在する機能のみが、指定したプールで有効になります。
    ファイル名は、絶対パスか、/etc/zfs/compatibility.d か、/usr/share/zfs/compatibility.d からの相対パスが使用可能です。fileで指定できる互換性は、/usr/share/zfs/compatibility.d 以下のファイルを参照ください。

互換性プロパティは、zpool create でzpool作成時に指定するか、zfs upgrade で作成済みのzpoolで変更可能です。また、 zpool set feature@xxx=enabledという機能プロパティの設定は使用できますが、disabled へは変更できません。

InfluxDB サポート

zpool influxdbコマンドでプールの統計情報をInfluxDBの時系列データベースに収集し、分析・監視に利用します。

時系列データベースへのzpool統計の収集を容易にするため、zpool influxdb コマンドが導入されました。今までも、単純な zpool のプロパティと zfs のパフォーマンスデータを、/proc から telegraf 経由で influxdb で収集できます。しかし、zpool のプロパティは /proc からは容易に入手できませんし、 管理者は zpool コマンドに依存しています。zpool influxdbは、時系列データベースを利用するための、zpoolの代替機能です。

この機能を有効利用するため、ZFS + telegraf + influxdb + grafana 環境で、pool の遅延分布がどのように可視化されるかを示すための、grafana ダッシュボードのテンプレートが含まれています。

追加サブコマンド

ZFS 2.0 および 2.1 で、以下のサブコマンドやオプションが追加されました。

  • zpool replace|attach -s
    新しいストレージデバイスへの交換もしくは追加する際に、 -s オプションを指定するとシーケンシャルなresilver を実行します。
  • zfs wait, zpool wait
    zfs と zpool のサブコマンドで、長時間実行されるバックグラウンド処理が完了するのを待ちます。
  • zfs redact, zfs send --redact
    再編集された(dedact)、send streamを生成します。
  • zfs send --saved
    受信したデータセットの一部を送信可能にします。
  • zfs rename -u
    再マウントせずに、ファイルシステムの名前を変更できます。
  • zfs umount -u
    暗号化されたファイルシステムがアンマウントされたとき、その鍵をアンロードします。
  • zfs bookmark fs#target fs#newbookmark
    既存のブックマークを、新しい名前のブックマークへにコピーします。
  • zpool create -u
    zpool作成時に、ファイルシステムが自動的にマウントされないようにします。
  • zpool history -i
    zpool history で表示されるコマンド履歴に、各コマンドにかかった時間が表示されるようになり、パフォーマンス解析が可能になります。
  • zpool status
    最適でないブロックサイズを使用しているディスクを通知します。
  • zfs send --skip-missing|-s
    レプリケーションストリームを送信する際に、見つからないスナップショットをスキップします。
  • zfs rename -u
    再マウントせずにファイルシステムの名前を変更できます。

終わりに

今回は、OpenZFS 2.1以降の変更点について掘り下げてみました。次回は、OpenZFS 2.0および2.1以降で追加されたサブコマンドについて説明します。次回をお楽しみに。

さて、このコラムを掲載いただいているデジタル・ヒュージ・テクノロジー社は老舗のOSSインテグレーターです。特にLinuxは強く、OSSを活用した業務システムの実績も多いです。興味がある方は以下のページもご覧ください。
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