UbuntuでZFSを使ってみよう 第20回 ZFSのプロパティを見てみよう(3)
前回は、ZFSに設定できる読み取り専用プロパティについて説明しました。今回も引き続きZFSの読み取り専用プロパティについて説明します。
読み取り専用のZFS ネイティブプロパティ(3)
ZFSネイティブプロパティの中で、読み取り専用の情報です。
objsetid
ZFSプール内での、このデータセットの一意の識別子idです。データセットのguidとは異なり、データセットのobjsetidは送受信操作でスナップショットをコピーしても、他のプールには転送されません。send/recieve操作でスナップショットをコピーしても、データセットのobjsetidは他のプールに転送されません。objsetidは、データセットが削除された後でも、(新しいデータセットに対して)再利用できます。
$ zfs get -r objsetid rpool/USERDATA
NAME PROPERTY VALUE SOURCE
rpool/USERDATA objsetid 1027 -
rpool/USERDATA@zfs-auto-snap_monthly-2021-05-14-2250 objsetid 6167 -
rpool/USERDATA@zfs-auto-snap_monthly-2021-06-13-2249 objsetid 10157 -
rpool/USERDATA@zfs-auto-snap_weekly-2021-06-23-2241 objsetid 3782 -
rpool/USERDATA@zfs-auto-snap_weekly-2021-06-30-2244 objsetid 22484 -
rpool/USERDATA@zfs-auto-snap_weekly-2021-07-07-2240 objsetid 52963 -
rpool/USERDATA@zfs-auto-snap_monthly-2021-07-13-2245 objsetid 64441 -
(以下略)
receive_resume_token
zfs receive -s
から部分的に完了した状態を保存しているファイルシステムやボリュームでは、この曖昧なトークンを zfs send -t
に指定することで、zfs receive
を実行します。
referenced
データセットがアクセス可能なデータのとき、プール内の他のデータセットと共有されている場合もあれば、共有されていない場合もあります。 スナップショットやクローンが作成されると、その内容が同一であるため、作成元のファイルシステムやスナッ プショットと同じデータを参照します。内容が同一であるため、作成元のファイルシステムまたはスナップショットと同じデータ量を参照します。
このプロパティは、短縮されたカラム名である refer でも参照できます。
# ファイルシステム、スナップショット、クローンのreferenced
$ zfs get referenced rpool/USERDATA/user2 rpool/USERDATA/user2@zfs-auto-snap_hourly-2021-06-12-0817 rpool/USERDATA/user2__2
NAME PROPERTY VALUE SOURCE
rpool/USERDATA/user2 referenced 57.6G -
rpool/USERDATA/user2@zfs-auto-snap_hourly-2021-06-12-0817 referenced 52.3G -
rpool/USERDATA/user2__2 referenced 52.3G -
# refer の使用例
$ zfs get refer rpool/USERDATA/user2
NAME PROPERTY VALUE SOURCE
rpool/USERDATA/user2 referenced 57.6G -
refcompressratio
このデータセットの参照空間で達成された圧縮率を乗数で表したものです。 compressratioプロパティも参照してください。
# refcompressratio の例
# クローンであるtest2__2 は、compressされた領域を参照している
$ zfs get refcompressratio rpool/USERDATA rpool/USERDATA/user2 rpool/USERDATA/user22@zfs-auto-snap_hourly-2021-06-12-0817 rpool/USERDATA/user2__2
NAME PROPERTY VALUE SOURCE
rpool/USERDATA refcompressratio 1.00x -
rpool/USERDATA/user2 refcompressratio 1.88x -
rpool/USERDATA/user2@zfs-auto-snap_hourly-2021-06-12-0817 refcompressratio 1.86x -
rpool/USERDATA/user2__2 refcompressratio 1.86x -
# compresrasio との違い
# クローンであるtest2__2 は、compressされた領域を持っていない
$ zfs get compressratio rpool/USERDATA rpool/USERDATA/user2 rpool/USERDATA/user2@zfs-auto-snap_hourly-2021-06-12-0817 rpool/USERDATA/user2__2
NAME PROPERTY VALUE SOURCE
rpool/USERDATA compressratio 1.91x -
rpool/USERDATA/test2 compressratio 1.91x -
rpool/USERDATA/test2@zfs-auto-snap_hourly-2021-06-12-0817 compressratio 1.86x -
rpool/USERDATA/test2__2 compressratio 1.00x -
snapshot_count
データセットツリーのこの場所の下に存在するスナップショットの合計数を表示します。 この値は、データセットが存在するツリーのどこかにsnapshot_limitが設定されている場合にのみ有効です。snapshot_limitは、機能を追加しないと使用できないため、noneになります。また、snapshot自体の値は’-‘ になります。
$ zfs get snapshot_count rpool/USERDATA rpool/USERDATA/user2 rpool/USERDATA/user2@zfs-auto-snap_hourly-2021-06-12-0817 rpool/USERDATA/user2__2
NAME PROPERTY VALUE SOURCE
rpool/USERDATA snapshot_count none default
rpool/USERDATA/user2 snapshot_count none default
rpool/USERDATA/user2@zfs-auto-snap_hourly-2021-06-12-0817 snapshot_count - -
rpool/USERDATA/user2__2 snapshot_count none default
type
データセットの種類を表示します。filesystem、 volume、snapshot と区別されます。cloneはfilesystem と表示されます。
$ zfs get type rpool/USERDATA rpool/USERDATA/user2 rpool/USERDATA/user2@zfs-auto-snap_hourly-2021-06-12-0817 rpool/USERDATA/user2__2 rpool/swap
NAME PROPERTY VALUE SOURCE
rpool/USERDATA type filesystem -
rpool/USERDATA/user2 type filesystem -
rpool/USERDATA/user2@zfs-auto-snap_hourly-2021-06-12-0817 type snapshot -
rpool/USERDATA/user2__2 type filesystem -
rpool/swap type volume -
終わりに
今回はZFSの読み取り専用プロパティについて説明しました。次回も、ZFSの読み取り専用プロパティについて説明します。次回をお楽しみに。
さて、このコラムを掲載いただいているデジタル・ヒュージ・テクノロジー社は老舗のOSSインテグレーターです。特にLinuxは強く、OSSを活用した業務システムの実績も多いです。興味がある方は以下のページもご覧ください。
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